“本仕込”という伝統
2009年 09月 03日
京都北山は北山杉磨き丸太で有名な林業地。何と600年以上の歴史を持つらしいです。
しかし「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と鴨長明が書いたように、
時代の流れに翻弄され、今はすっかりその育林から製材までの行程も変わったようです。
手間ひまかかる伝統的なやり方では費用対効果が合わず、消費流通に合わせた合理的な
方法に切り換えずにはやっていけないんですね。
それは林業だけではありませんが・・・
でも、そんな逆境にもひるまず先人の知恵や技を後世に繋いでいこうと必死に
頑張っておられる人たちもいます。
この日は「本仕込」と呼ばれる北山林業の伝統工法での伐採を実際に山で見学。
あいにくの雨降りでしたが(ぼくが北山へ行くといつも雨・・・もしかして雨男?)、
作業を中断されることなく見学させてもらいました。


スルスルと木を昇り降りして樹皮を剥く職方の技はすごいですね。ぜひぜひ、
このような伝統的なワザは次代へ遺していって欲しいものであります。
丸太自身もきれいですけど、写真のように傘をたたんだ時のような「本仕込」行程の
造形も美しかったです。すごく理に適った伐採方法との事なんですが、やはり機能的、
合理的で無理無駄の無いものは美しいと感じるんでしょう。
工場へ戻ってからは「菩提の滝の砂」という、これしかダメと言われる研磨成分が
含まれた滝の砂で磨いて仕上るのですが、これも体験させてもらいましたよ。


北山の話で印象に残っているのは、この伝統工法を今に伝えている林業家の中田氏が
「床柱はあくまでも脇役で決して主役になってはいけない。主役はあくまでも床に飾られる
飾り物や軸で、床柱はそれらを如何に引立たせるが大事なんです。」と教えてもらった事。
床柱を設計者に喩えてみると、主役はあくまでも建築がどのように使われるかということ。
住宅ならそこでの暮らしが、学校なら子どもや先生の学園生活がいかに素晴らしいものに
成るかが一番大事なはず。
ところが、建築設計を生業にしているとすぐあれは自分が設計したとか、
そのプランやデザインがどうだとか、これのコンセプトは・・・とか、
大事なことをさておき自分が主役になりたがるんですね。(反省)
目立ちたがりが多いんですな、建築の設計をやっている人は。
本物の銘木床柱みたいに決して自分は表にしゃしゃり出ず、しかしそれが無ければ床の
設えは絶対際立たないような床柱の在り様。建築家という職能もそんな姿勢が
もとめられているんでしょうね。
そんな事を考えながらの帰り道だったのです。
しかし「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と鴨長明が書いたように、
時代の流れに翻弄され、今はすっかりその育林から製材までの行程も変わったようです。
手間ひまかかる伝統的なやり方では費用対効果が合わず、消費流通に合わせた合理的な
方法に切り換えずにはやっていけないんですね。
それは林業だけではありませんが・・・
でも、そんな逆境にもひるまず先人の知恵や技を後世に繋いでいこうと必死に
頑張っておられる人たちもいます。
この日は「本仕込」と呼ばれる北山林業の伝統工法での伐採を実際に山で見学。
あいにくの雨降りでしたが(ぼくが北山へ行くといつも雨・・・もしかして雨男?)、
作業を中断されることなく見学させてもらいました。


スルスルと木を昇り降りして樹皮を剥く職方の技はすごいですね。ぜひぜひ、
このような伝統的なワザは次代へ遺していって欲しいものであります。
丸太自身もきれいですけど、写真のように傘をたたんだ時のような「本仕込」行程の
造形も美しかったです。すごく理に適った伐採方法との事なんですが、やはり機能的、
合理的で無理無駄の無いものは美しいと感じるんでしょう。
工場へ戻ってからは「菩提の滝の砂」という、これしかダメと言われる研磨成分が
含まれた滝の砂で磨いて仕上るのですが、これも体験させてもらいましたよ。


北山の話で印象に残っているのは、この伝統工法を今に伝えている林業家の中田氏が
「床柱はあくまでも脇役で決して主役になってはいけない。主役はあくまでも床に飾られる
飾り物や軸で、床柱はそれらを如何に引立たせるが大事なんです。」と教えてもらった事。
床柱を設計者に喩えてみると、主役はあくまでも建築がどのように使われるかということ。
住宅ならそこでの暮らしが、学校なら子どもや先生の学園生活がいかに素晴らしいものに
成るかが一番大事なはず。
ところが、建築設計を生業にしているとすぐあれは自分が設計したとか、
そのプランやデザインがどうだとか、これのコンセプトは・・・とか、
大事なことをさておき自分が主役になりたがるんですね。(反省)
目立ちたがりが多いんですな、建築の設計をやっている人は。
本物の銘木床柱みたいに決して自分は表にしゃしゃり出ず、しかしそれが無ければ床の
設えは絶対際立たないような床柱の在り様。建築家という職能もそんな姿勢が
もとめられているんでしょうね。
そんな事を考えながらの帰り道だったのです。
by knaw
| 2009-09-03 08:45
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