奈良県の一級建築士事務所 (建築設計事務所) 中尾克治建築設計室のブログ 建築設計監理・家具デザイン・庭園デザイン


by knaw
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曼珠沙華の咲くころ

先日打合せ時にある人が「彼岸花ってすごいよな。必ず彼岸近くになったら咲くもんな!」
とおっしゃるから、「いや、その頃に咲いてる花だから人間が勝手に彼岸花と名付けたんでしょ。」
といった会話をしていた。タマゴが先かニワトリが先かじゃありませんが、
まぁバカ正直に決まって彼岸の頃に咲いて秋の訪れを告げる花ではあります。




昔はもっと田んぼの畦に一面真っ赤に染まるほど咲いていたという記憶があるけど、
最近はあまり見かけません。見つけてもまばらに咲いていることが多い。
そんなほのぼのとのんびりした場所がどんどん減っていますからね。
その強烈な「赤」が日本の風土には鮮明すぎて「幽霊花」「捨て子花」「しびれ花」なんていう
マイナスイメージの名も付けられてきたみたいですが、実った稲穂の「黄緑」の田んぼのふちで
なかなかの存在感を発揮していると思います。
緑と赤は補色なんで互いに引き立っていいんですね。
日本の心象風景に溶け込んだ花ですが、もとは大陸から入ってきたもの。
食用にもなり、薬でもあり、毒にもなる。
昔、飢餓に備えて畦道に植えられたものが広まったといいます。
建築の仕事をしていると「和風」とか「洋風」とかよく言いますが、一般的に思われている
「日本的なもの」のほとんどが海の向うから渡ってきたものです。
主食の米、多くの人が信仰する仏教もそう。本当の和って何でしょうね?
師匠の横内先生には「和」には日本的ということ意外に、平和的なこと(仲睦まじい)、
和む・和らぐさま、異質なものを混ぜ合わせた結果、足し算の結果などいろんな意味があるよと
教えられた。「和」とは他と混ざり合いそこから最適な調和を見出すことなんですね。
そして「自然素材」なんかもよくもてはやされますが手付かずの「自然」は人間にとっては
脅威でしかなく、程よく人の手が入った里山の自然こそ生きとし生けるものにとって
都合のよい自然なんでしょうね。
勝手にその辺に咲いていると思っていた曼珠沙華のルーツを探ってみると、
ホンモノの和のエッセンスがあり人と自然が調和する建築はどんなものか、秋の夜長に
ちょっと考えてみたいと思っています。

曼珠沙華の咲くころ_c0175075_7511947.jpg

by knaw | 2009-09-28 07:51 | ♪お気に入りあれこれ