奈良県の一級建築士事務所 (建築設計事務所) 中尾克治建築設計室のブログ 建築設計監理・家具デザイン・庭園デザイン


by knaw
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あえて無為で引き渡す

桑名で進めていた住宅はひと月ほど前に一応の完成をみた。ということで
建築物は建築主に引き渡されたわけですが、実は完成していない部分が
たくさんあったのです。外構工事がまだだとか備品工事がまだだとかといった
範疇では無く、建具、土壁、造作家具、製作照明、薪ストーブetc.未完の部分が
あちこちに・・・
あえて無為で引き渡す_c0175075_18334722.jpg

本来は100%出来て引渡しが一般的であり、最低限のルールであることは承知の上、
こんな引渡しもあるのだな~と思った。いろんな事情が合い重なって、未完成の
ままの引渡しとなっているのだが、もちろんそこには広い心で家づくりを愉しんで
おられた建築主の暖かくも有難いご理解があって成立している。
法律、経済、いろんな付合い、様々な社会的制約の中で建築は作られますが、
そうしたことと正反対のところで、もっとこうあるべきだ!こうすればもっと
良くなるのに、といった創作の思いが残り、その狭間でみな苦悩するものですが、
打算的に割り切ってしまわずに、引渡し後も住まいながら家づくりは続いていると
いう形は決して悪いものでも無さそうです。
あえて無為で引き渡す_c0175075_18345237.jpg

寒い冬が終わり、暖かくなってくると中塗りで止めてある土壁も上塗りできるでしょう。
次の冬が来るまでに薪ストーブがあつらえれば理想です。家は出来たけど庭が
出来なければ、本当の家庭にはなりません。
軒内の木製デッキも室内の造作家具も揃ったとき本当の完成でしょうが、それらを
どう設えあつらえていくか、意図的に無為のまま残された隙間を少しずつ埋めて行く
わけですが、空間を生み出す主体は当たり前の如く住まい手にも有ります。
あえて無為で引き渡す_c0175075_18351526.jpg

家づくりを真剣に考えて取り組んできた建築主だからこそ、こうしたスタイルを可能に
してくれて、その無為の度合いが多いほど空間の自由度は高いはず。
住宅の作りようは本来そんな姿のほうが理想的ではなかったのでしょうか?
取り急ぎ製作照明器具の検討から住まいながらの家づくりは続いていきます。



あえて無為で引き渡す_c0175075_1827777.jpg







日用の住宅考WEBマガジン“Daddy's athome”
by knaw | 2011-03-06 18:37 | ♪建築現場から