奈良県の一級建築士事務所 (建築設計事務所) 中尾克治建築設計室のブログ 建築設計監理・家具デザイン・庭園デザイン


by knaw
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板壁

街の真ん中では外壁の仕上げというと防火の規定やらなんやらで
なかなか無垢の板は使いにくい事が多いですが、この家の様に
山の上で調整地域で風致地区で国定公園内でなんていうと、別の
制約はたくさんありますが、外壁の仕上げをどうしなさい!なんて
法律や条例など規定はほとんどなく、逆にこういう風情のほうが
周囲の環境に馴染んで喜ばれます。
板壁_c0175075_1818055.jpg


外壁の塗装も終えて、薪ストーブの煙突も着いたところで足場と養生が
とれました。赤味の杉板に押縁仕上げ、押縁のサイズも大きめ、間隔は
狭め。棟梁、監督、材木店さんらとの現場打合せで「もう少しサイズ
落した方がいいんじゃないですか?」という意見もありましたが、
よ~くよく考えて、「図面通りいってくださいよ!」となりました。
これで良かったと思ってます。(ただ割付など仕事は大変)

先日、建築主さんといっしょに雨の中、産廃処分場から外構で使う
中古枕木を安く譲り受けるため、取りに行った時にトラックの中での話。
足場が取れた日、建築主さんの母上様がバスで現場の前を通ったらしい
です。「あぁ、だいぶ出来てきたな~」と思って車窓から覗いていたら、
周りの席から、乗り合わせていた他所のおばちゃんらが曰く、
「あの家、出来てきたで!」「おかしな家やな~、ただの山小屋やん。
誰がすむんやろ?あんな小屋みたいなとこ。」とか言いまくり。
まさか施主の母君が横に乗り合わせているとはつゆ知らず。
お母さんは内心、くすくすとほくそ笑んでいたそうです。
「僕らはこういう家がいいと思って、こだわってるけど、おばちゃんらには
変な家にしか見えないんですね~」とご主人。
こっちはシメシメです。何と言っても最初にこの場所に建築主さんと
来た6年ほど前、この場所には山小屋というか山の上の分校みたいな
雰囲気のある家になるといいですね。と言っていたのだから。
懐かしいファーストプランのプレゼン図には『山の分校の木造校舎のような・・』
という文字があります。その時のスケッチは2階部分だけが板貼り。
1階は塗り壁のイメージ。それはそれで良かったかも知れないけど、
やっぱりここでは全面板壁の方が似合っていると思ってます。


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板壁_c0175075_1827777.jpg







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by knaw | 2012-02-08 18:51 | ♪建築現場から